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2006年2月

2006/02/25

透明人間

33/米

監督 ジェームズ・ホエール
脚本 R・C・シェリフ
製作 カール・レムルJr.
原作 H・G・ウエルズ

天才科学者グリッフィンが自らを実験台にして作りあげた人体を透明にする作用を持つ薬品。が、薬には素晴らしい効能だけでなく人を死肉に飢えた怪物へと変えていく恐るべき副作用があった…。

【STORY】

「助かったよ――ちょうど助けが欲しいと思って飛び込んだところが大学時代の友人だった君の家とはな――すまんがこのカツレツをもらうよ」
皿のカツレツが宙に浮かぶと椅子の上に置かれたナイトガウン――まるで人間が着ているかのようにふくらんでいるのに中身はがらんどうの――の方に引き寄せられた。
「最近世間を騒がせている透明人間の正体――それがグリッフィン、きみだったとはな」
ナイトガウンの上方でカツレツが端から少しずつ虚空に消えていく不思議な光景を眺めながらケンプ博士はそう切り出した。
「そうさ。物が見えるのは光線が物体にあたると、吸収、反射、屈折のいずれかの作用を起こすためだ。僕は三次元の物質を四次元の存在に転化させることにより、その物質を光の吸収、反射、屈折のいずれも起こさないようにする方法を発見したのだ。つまり透明人間になる方法をだ――ケンプ、すまんがカツレツをもう一つくれたまえ」
「僕の皿のをやろう――四次元の存在とは何だね?」
「一言で簡単に説明するのは難しいが――まあ、お化けみたいなものだな」
「なるほど君は自分自身を実験台にして透明人間に――君の言うところのお化けになり世間を恐怖のどん底に陥れたというわけか」
「それには深い理由があるのだ――まず、最初の段階では自分自身の透明化をコントロールできなかった。つまり透明の状態から元に戻ることができなかったのだ――ケンプ、すまんがカツレツをもう一つくれたまえ」
「さっきあげたばかりじゃないか」
「すまんな。透明人間になってからいくら食べてもすぐに腹が減るんだ。これも透明化に伴う副作用の一つかも知れん――コントロールできないためにずっと透明な状態でいなければならなかった。そのために包帯を巻いて顔や手足を隠さねばならず、泊まっていた宿屋の主人に怪しまれた結果あんな大騒ぎを引き起こしてしまったんだ。そのあと馬鹿な警官やいまいましい犬に追いかけられて自分の身を守るためにやむなく……全くあのくそ犬どもときたら!」
「ずいぶんと犬が嫌いらしいな」
「犬は透明になっているにもかかわらず臭いで僕の実体を嗅ぎつけるからな。そのためにあやうくつかまりそうになった。透明人間も犬にだけは弱いというわけだ。しかし今なら解決法がある。――すまんがカツレツもう一つおかわり」
「これでも皮を剥いて食べたまえ――解決法とは?」
「もうバナナしかないのか――この逃避行の最中に僕はこの透明化の状態を自分の意思である程度コントロールできるのに気がついた。精神を集中することにより一瞬だが透明化以前の元の状態に戻れるのだ。君の家でしばらく居候をさせてもらえばそのうち完全にコツをつかみ自由に目に見える状態と透明の状態を行き来できるようになるだろう。そうなればしめたものさ。僕は思うままにいつでも姿を消して宙を行くが如くどんな所にも忍び込める人間以上の存在になれるのだ」
「まさしくお化けだな――ところで一瞬だけ元に戻れるといったな。今でも可能かね?」
「可能さ。見せてやろう、――ほら、これが透明でないときの僕の姿だ。若いころとは見違えるほどに変ってしまったと思うが……どうしたかね?」
「一つ聞いていいかね、グリッフィン」
「何だい、ケンプ」
「あのう……君の目が目玉焼きみたいで口がテーブルが入るぐらいばかでかくって頭のてっぺんに髪の毛が三本しかないのもやっぱり透明化の副作用なのかね?」


(古賀)

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2006/02/12

逃亡者

1993/米

製作総指揮 キース・バリッシュ ロイ・ハギンス
製作 アーノルド・コペルソン
監督 アンドリュー・デイヴィス
脚本 ジェブ・スチュアート デヴィッド・トゥーヒー
出演 ハリソン・フォード トミー・リー・ジョーンズ ジュリアン・ムーア他
原作 『悪魔の詩』 サルマン・ラシュディ

【STORY】

リチャード・キンブル(仮名) 職業小説家。
彼は身におぼえのないコーラン及び預言者冒涜の罪によりホメイニ氏によって死刑を宣告されたが、原理主義者の手からからくも脱走した。3億6000万円の懸賞金目当ての賞金かせぎジェラード(仮名)の執拗なる追及の手を逃れ彼の必死の逃亡しながらの執筆生活は続く…。

英国で実際に起こった事件を題材にした人気TVシリーズを映画化。手に汗握るアクション・サスペンス。


(古賀)

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2006/02/10

下流教室

1987年 東宝東和

製作総指揮 中村賢一
製作 高木盛久 山科誠 山下輝政
監督 大林宣彦
脚本 橋本以蔵
出演 林泰文 三田佳子 小林稔持 尾美としのり他
原作 『下流教室』楳図かずお 三浦展(共作)

【STORY】

高松翔の通う大和小学校が突然の爆音とともに飛ばされた数十年後の世界、そこは階級格差が拡大し日本人全体の実に40%が下流階層という荒廃した過酷な社会だった。
生きるために携帯、パソコン、ゲーム機の三種の神器を手に入れ、何とかして上流階層にのぼろうとあがき続ける翔たちだったが、仲間は次々と働く意欲、学ぶ意欲、人生への意欲を失い、ひきこもりながら底辺でだらだらと怠惰に生き続ける異様な形態のミュータント(ニート)へと化していく。壁に囲まれ縮小していく世界の中で果たして井の中の蛙にならずに生きていけるのか――鬼才が明日なき人類の行く末を鋭く警告する戦慄の書を実写化した近未来サスペンス映画。


(古賀)

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