ゴジラ対酢豆腐
1954年11月3日封切
製作 田中友幸
脚本 村田武雄 本多猪四郎
監督 本多猪四郎
撮影 玉井正夫
音楽 伊福部昭
出演 志村喬 平田昭彦 河内桃子 宝田明他
【STORY】
「おーい、与太郎、与太郎、おめえ、豆腐をどうした?」
「豆腐?」
「昨晩買ってきてくれって頼んどいた豆腐だよ」
「ああ、あれか。あれなら大丈夫なところにしまってある」
「大丈夫なところってどこだ?」
「ほら、隣の家に住んでる片目に眼帯をしたマッドな科学者。あいつんとこの冷蔵庫を借りて中にしまっといた」
「こいつ、馬鹿だな・・・相手はかりにもマッドな科学者だぞ。そんなところに豆腐なんか入れといたら、どんな変な実験に使われるかわかりゃしねえ。早く取り返してこい」
「取り返してきた」
「何でえ、この妙ちきりんな物体は・・・これが豆腐か?」
「うーん。黄色くなって、毛がぽーっと生えて、やけにすっぱそうだね」
「おれの鼻のそばに持ってくるなよ。くさくってしょうがねえじゃねえか。あらゆる生物を死滅させる匂いってのはこういうのを言うんだ・・・まるで空気中の酸素がことごとく破壊されちまいそうな匂いだ」
「とんでもない所に豆腐をあずけちまったなあ。捨てちまおうか?」
「待て待て、捨てるのは後でいい。これを是非食らわせてやりたいやつがいるんだ」
「えっ?これをかい?誰に?」
「ほら、あの大戸島の変物。あいつが海から東京に上陸してこっちに向かって来るじゃねえか」
「しかしいかになんでもそんなものを食らうかい?あいつが?」
「それをうまく食らわして退治できたらご喝采とくらあ。見ねえ、あの凶悪そうなつらを。ジュラ紀の国からジュラ紀の生態系をひろめにきたってえのはあいつみたいなのを言うんだ・・・若旦那、ねえ、若旦那。こっちに寄ってらっしゃい。あなた、皇居だけ素通りってのはなしですぜ・・・」
「おや、こんつわ」
「あれっ、こんつわとおいでなすったよ、トカゲの分際で・・・若旦那、お加減はいかがですか。どうせ、若旦那のことだから、また海底でおつな色模様でもござんしたんでしょ。目がどんよりとして血走ってますぜ」
「やあやあ、さすがにお目が高いねえ。ゆうべの海底の色模様を見抜くなんざあどうもおそれいった・・・はなせば長いことながら、昨夜の姫ゴジラなる者は、拙にばかな恋着ぶりでごわしたねえ。今宵のふたりにゃじゃまな自衛隊なんて都都逸を唄ってすねて、拙の背びれをつねつねやなんぞあって、尻尾をきゅーっ」
「おいおい受け付けかわっとくれよ・・・しかし、若旦那、あなたなんざあそうもてるってのも、天下無敵な肉体があってのことでござんしょう?一体若旦那ほどの方をうならせる兵器なんてものがこの世にはまだあるんでございますかね?」
「やあ、これはまた異なことをおたずねでげすなあ。当節、水爆から10万ボルトの電流まで味わいつくした拙をもうおつなどといわしめる兵器はごわさんねえ」
「そうでござんしょうとも・・・で、さっそくなんでござんすが、いまよそから貰ってきたものがあるんですがね、どうもこれがみたこともないものなんで・・・・・・ひとつ若旦那に食らっていただきてえんで持ってきたんで・・・」
「ははあ、到来物で・・・では、さっそく拙がご検分の役をつとめるといたしやしょうか」
「こりゃありがてえ。おいおい、すぐに持ってこいよ、例の一件を・・・若旦那、これでござんす」
「ははあ、なるほど・・・・・・ふーん、この匂いはまた・・・」
「若旦那にはぜひとも今この場でこれを食らっていただきたいんで」
「この場でとおっしゃるが、みなさんの前で食らっては失礼にあたりやすから、これを海底に持ち帰りやして、夕餉の席で、一献かたむけながら食らうということに・・・」
「そんなこと言わないで、ここで食らってくださいな。若旦那、おねがいします」
「ねえ、どうかあっしたちを助けると思って」
「それほどおっしゃるなら、危険をもかえりみず、ここで食らうといたしましょう」
「やった、ばんざい」
「さてと・・・うーん、この鼻へつーんとくるところが、また何ともいえぬ破壊力で・・・・・・うむ、目にもぴりっときやすな・・・・・・この目ぴりなるものが体に広がっていって、やがて全身が白骨と化していくところがまた珍なるゆえんで・・・・・・こうして、一口に、うーん・・・・・・やられた」
「やった、やった、若旦那、とうとうやられちまいましたねえ。さすがにたいしたもんだ。ねえ、若旦那、これは一体なんという兵器なんでしょう?」
「拙のかんがえではオキシジェン・デストロイヤーでしょう」
「オキシジェン・デストロイヤー?なるほど、オキシジェン・デストロイヤーはうまいねえ。これで第二、第三の若旦那の同類が現われても安心ですね」
「いや、オキシジェン・デストロイヤーの使用は一回きりに限りやす」
(※海外公開版タイトルは『GODZILLA VS TIRITOTETINN』)
(古賀)
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