【STORY】
(視点A)
吾輩は遊星から来た物体である。名前はまだ無い。
どこで生れたか頓と見当がつかぬ。ただ厚い氷の下で何万年も眠っていたことだけは記憶している。吾輩はここで始めて犬というものを見た。然もあとで聞くとそれは人間という地球上で一番獰悪な種族に飼われている動物であったそうだ。
(視点B)
「なんでエイリアンなんかが、犬に化けているんだ」とおれがわめくと
「エイリアンた何ぞな」と1人がいった。こんな時にやに落ち着いてやがる。
「エイリアンたこれだ、大きなずう体をして、エイリアンを知らないた、何の事だ」
「そりゃ、遊星からやって来た物体ぞな、もし」
「エイリアンでも、遊星から来た物体でも、誰れがいつ犬の中へ入れた」
「誰れも入れやせんがな」
「入れないものが、どうして犬の中に居るんだ」
「遊星からの物体は同化するのが好きじゃけれ、大方一人で御這りたのじゃあろ」
(視点A)
吾輩がこの基地へ住み込んだ当時は、宿主以外のものには甚だ不人望であった。 どこへ行っても正体がばれると跳ね付けられて相手にしてくれ手がなかった。如何に珍重されなかったかは、今日に至るまで名前さえつけてくれないのでも分る。
(視点B)
「宇宙からやって来たものが何で人間に化けた」と問い詰めると
「宇宙からやって来て人間に化けて悪いという規則がありますか」とそいつは依然として丁寧な言葉を使っているが、顔の色は首だけになっているので少々蒼い。
おれが火炎放射を食らわすと、首は脚を生やして逃げ回りながら
「これは乱暴だ、狼藉である。理非を弁じないで火力に訴えるのは無法だ」
「無法で沢山だ。貴様のような怪物はこうでもしなくちゃ、答えないんだ」
とめらめらと燃やすと、仕舞にはそいつもおとなしく灰になった。
(視点A)
次第に楽になってくる。火の中に居るのだか、氷の下で眠ったままなのか、判然しない。只楽である。吾輩は死ぬ。死んでこの太平を得る、太平は死ななければ得られぬ。南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏。有難い有難い。
(視点B)
だから遊星からの物体の墓は南極にある。
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82/米
監督 ジョン・カーペンター
製作 デヴィッド・フォスター ローレンス・ターマン
脚本 ビル・ランカスター
出演 カート・ラッセル ウィルフォード・ブリムリー他
原作 ジョン・W・キャンベル『影が行く』、夏目漱石『坊ちゃん』『吾輩は猫である』
(古賀)
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