2010年10月28日 (木)

落語『リバタリアン長屋』(笛育演芸場)

えー、マイケル・サンデルでございます。今日はこれからの正義について一所懸命おしゃべりいたします。いつも申しておりますようにわれわれアメリカ人というのは大まかにいってこの功利主義とリバタリアニズムでございますね。えー、功利主義がありましてリバタリアニズムがある。そこに相克があり笑いが生じるというようなことでございますが……。

「おう、今日みんなに集まってもらったのはほかでもねえ。イチローのやつが1人で年収1800万ドルも稼ぎやがっていまいましいから、奴の富を再分配してみんなの分の店賃まで払わせてやろうとこう思うんだ」
「なんでイチローがおめえの分の店賃まで払わなけりゃならないんだ?」
「そりゃ、おめえ、イチローが1800万ドル稼いでるだけならイチロー1人が幸せなだけじゃねえか。それをみんなの店賃にあててみろ。長屋中のみんなが幸せにならあ。全体的な幸福の増大だ。これすなわち最大多数の最大幸福だ」
「最大幸福だが最後のお多福だか知らねえがずうずうしい野郎だ。そんな理由でイチローの1800万円をみんなに分配することを認めていたらそれと同じ理由でおれの財産をみんなに分配することも認めることになる。人間の基本的権利の侵害ってやつだ。勝手にそんなことをするのを許すわけにはいかねえ」
「おめえの主張は何だかリバタリアン(自由至上主義者)くさいなあ。でもお前んちに財産なんてあったっけ?」
「お金や家財道具のたぐいは一切ないが口うるさい女房が1人いらあ」
「そうか。じゃあおめえんとこはリバタリアンじゃなくてオバタリアンだ」
お後がよろしいようで。

【関連情報】

落語のあらすじ 千字寄席 『長屋の花見』

『マイケル・サンデル』(Wikipedia

『功利主義』(Wikipedia

『リバタリアニズム』(Wikipedia


(古賀)

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2010年4月18日 (日)

落語『韜晦長屋』

自分の都合の悪い質問にはいろいろと訳のわからないことを言って誤魔化すということが世の中には良くあるようでございます。
「みんなに集まってもらったのはほかでもねえ。大家が月番のおれをよんで、みんなの顔をそろえてきてくれとこういうんだ。おれのかんげえじゃあ店賃の催促じゃねえかと思うんだが、大家が催促するからにゃあ、みんな相当ためこんでるんじゃねえのか?どうだい、俊さんとこなんか?店賃いつ持ってった?」
「韜晦趣味、という言葉をご存知でしょうか。」
「なんでえ、それは」
「海外の作家さんにはわざと店賃を払わず、その事実をぼやかしておく人が少なくありません。私にもその気があるようです。」
「あれ、海外の作家さんと自分を一緒にしてやがる。ずうずうしいったらありゃしねえ」
「星新一さんは自分が最後に店賃を払ったのはいつだか空白にしておいて、『ここらへんはいずれ自伝に書くかもしれないので』とおっしゃって書かぬままに無くなられました。後にその部分を調査された最相葉月さんの著作は大佛次郎賞を受賞されています。私の店賃の研究で賞をとれる可能性は低いでしょうが(笑)、月番なら、韜晦趣味の店子をつついてもあまり意味がない、とお気づきください」
「いいかげんにしろ。大学を出たかどうかもわからねえような奴が韜晦趣味なんて難しい言葉で気取りやがって。そんなことよりおめえは天井や壁の板を平気で焚き付けにするから、家が今にも崩れそうになっているじゃねえか。大家に見つけられたらどう誤魔化すつもりだ」
「えへん、これが本当の倒壊趣味でございますと」
(客席。しばらくの間、笑)

【関連情報】

落語のあらすじ 千字寄席 『長屋の花見』

「青山学院大文学部英文科卒」という韜晦大自信 (トンデモない一行知識の世界2)

「(しばらくの間、笑)」じゃ怪しさ三割増なんですが<モンティ・パイソン(トンデモない一行知識の世界2)

学歴倒壊の韜晦趣味(藤岡真blog

韜晦人間。(唐沢俊一検証blog)

執筆者:唐沢俊一(あぁルナ本公演「悪役照会」稽古場日誌!)


(古賀)

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2010年1月14日 (木)

落語『ロケット算』

ある買い物上手な男が弟分に頼まれて、近くのロケット屋に光子ロケットを買いに行く。ここの店員は少しぼんやりした性分で特殊相対性理論が良くわからない。
男はまず「これは光と同じ速度で飛ぶロケットです。1万宇宙クレジットの値打ちがあります」と店員にすすめられたロケットを1万宇宙クレジットで買う。続けて同じようにもう1つ光の速さで飛ぶロケットを1万宇宙クレジットで買う。合計で2万宇宙クレジット。
それから最初に買ったロケットから2番目に買ったロケットを飛ばしても光速を越えないのを店員に見せつけて、「ほら、2つのロケットの速さを足しても光速にしかならないということは、1つのロケットは光速の半分しか出せないということだ。光の速さで飛ぶロケットの値打ちが1万宇宙クレジットならその半分の速さでしか飛ばないロケットは半分の値打ちしかない。2つで1万宇宙クレジットにしろ」とまけさせて、1万宇宙クレジットを返金させる。
しまいには「よく考えたらロケットは1つしかいらない。1つは返すよ。代金も半分返してくれ」と言って、通常の半額の5000宇宙クレジットでまんまと1つ光子ロケットを手に入れた。

【関連情報】

落語のあらすじ 千字寄席 『壺算』

『特殊相対性理論』(Wikipedia

『光速』(Wikipedia


(古賀)

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2009年12月19日 (土)

落語『そばの羽織(全国各地バージョン)』

【東京都】
ある男が蕎麦を70食べてみせると友達と賭けをした。50まで食べたところで苦しくなった男は皆を廊下に出し、うわばみが腹をへこますのに使っていた赤い草を消化剤代わりに舐めた。ところがそれは蛇含草という人間を溶かす草だった。いつまでたっても男が出て来ないので心配した友達が障子を開けて中を見ると、蕎麦が羽織を着ていた。

【大阪府】
ある男が餅を70食べてみせると友達と賭けをした。(中略)餅が羽織を着ていた。

【香川県】
ある男が饂飩を70食べてみせると友達と賭けをした。(中略)饂飩が羽織を着ていた。

【栃木県】
ある男がしもつかれを70食べてみせると友達と賭けをした。(中略)ゲロが羽織を着ていた。

【インド】
ある男がカレーを70食べてみせると友達と賭けをした。(中略)茶色い物体がターバンを巻いていた。

【ロシア】
イリヤ・メチニコフがヨーグルトを70食べてみせると友達と賭けをした。(中略)ヨーグルトが洋服を着ていた。

【イロマンゴ島】
ある男が宣教師を70食べてみせると友達と賭けをした。(中略)空気が南蛮服を着ていた。

【関連情報】

落語のあらすじ 千字寄席 『そば清

【上方落語メモ第1集その38】 『蛇含草

『イリヤ・メチニコフ』(Wikipedia

『人食い人種』(Wikipedia

『イロマンゴ島』(Wikipedia


(古賀)

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2009年10月25日 (日)

落語『酢豆腐(原話)』

ある若い男が昨夜買ってきて今朝見たら黄色くなっていた豆腐を、「どこかの変物が食べるかも知れない」と木の枝から糸でぶら下げておいた。そこへ腹をすかせた若旦那が通りがかって豆腐を見つけ、豆腐をとろうとして力一杯跳躍したが、1度端をちょこっと囓ることに成功したぐらいで後は何度やっても届かない。とうとうへとへとになった若旦那は腹いせに「ふん、酢豆腐は一口に限る」

【解説】
話術の名手相曾鳳珠(あいそぽうす)が京都所司代の御前で話した小咄を筆録した笑話集『兎亀笑』に出てくる『酢豆腐』の原話。現在演じられている『酢豆腐』では若旦那が実は狐の化けた偽物だったことになっている。

【関連情報】

落語のあらすじ 千字寄席 『酢豆腐』

『すっぱい葡萄』(Wikipedia


(古賀)

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2009年8月26日 (水)

落語『エンドレスエイトそば』

ハルヒ「夏休み最後の日のいい思い出作りになったわね!それじゃあ、さっき借りた焼きそばの代金310円返すわよ。ちゃんと手をこっちにだしなさい。10円玉しかないから間違えないように勘定してわたすんだから!……1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、……キョン、今日は何日かしら?」
キョン「今日?今日は8月17日に決まってるだろう……なんだ、この既視感は?」
ハルヒ「18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31」

それを横でじっと見ていた一人の女。
長門「今ので15498回目……まあ、わたしの役割は観測だから」

【関連情報】

落語のあらすじ 千字寄席 『時そば

『涼宮ハルヒシリーズ』(Wikipedia

『エンドレスエイトとは』(ニコニコ大百科)


(古賀)

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2009年8月23日 (日)

落語『素人千摺』

商家の旦那が最近マスターベーションにこりはじめ、店の者や長屋の者を無理矢理呼び集めてその前でいろいろなマスターベーションのやり方を実演することにした。みんな内心これはたまらないと思っているが、本当のことを言うと追い出されてしまうので何も言わない。

いい気になって夢中で実演している間にみんなが呆れていびきをかいて寝てしまったのに気がついた旦那はカンカンになるが、一人小僧の定吉だけが寝ないで泣いている。旦那、気を良くして「私のやり方のどこが良かったんだ。蒟蒻を使ったやり方か?」「そんなんじゃありません。あそこです」「あそこは私がマスターベーションを見せていた場所じゃないか」「私があそこの後始末の係なんでございます、トホホ」

【解説】
1 よりバレばなしっぽく「それは私がマスターベーションに使った棹じゃないか」「その棹をしまうのが私の係なんでございます」と落とす場合もある。
2 かっては芸人に食事をたかって文句を言われた旦那が「大岡食わねえ たった越前」と言って落とす関西落語バージョンが存在したが、「人にマスターベーションを見せつける以外は人格者であるはずの旦那のイメージにそぐわない」という批判が多く、現在ではこの形ではほとんど演じられない。

【関連情報】

冗談は寄席。(唐沢俊一検証blog)

モノカキというより落語家、でも落語からも落伍しそうな唐沢俊一先生?(トンデモない一行知識の世界2)

落語のあらすじ 千字寄席 『寝床』

『寝床』(Wikipedia

『オナニー』(Wikipedia


(古賀)

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2009年3月23日 (月)

落語『強情太陽』

ある男が自分は金星人の宇宙船に乗せられて太陽まで行ったことがあると自慢し、太陽はちっとも熱くなかったと言う。
その話を聞いて「本当は熱いのにやせ我慢をしてるんじゃないか」と疑った火星人が、自分の宇宙船に男を乗せて太陽まで連れてゆく。
最初はやせ我慢で熱くないふりをして太陽の表面に座っていた男も、やがて6000度の高温に耐えきれなくなり
「あ、あつ、あつ、あつ、あつ…」
「ほら見たことか。やっぱし熱いんだろう」
「いや、俺は熱くないが、バルンガはさぞかし熱かっただろう」

【関連情報】

落語のあらすじ 千字寄席 『強情灸

『ジョージ・アダムスキー』(Wikipedia

『太陽』(Wikipedia

『バルンガ』(Wikipedia

【バルンガ】(全ジャンル敵役最強スレまとめ@ Wiki


(古賀)

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2009年3月21日 (土)

落語『狸匙』

ある南蛮人の手妻つかいが悪童にいじめられている子狸を助け、恩返しに戻って来た狸を匙に化けさせて「壺の中に匙をいれて壺を振っただけで匙を曲げる座敷芸」で荒稼ぎをする。
ところが匙が曲がるのは手妻つかいが「曲がれ、曲がれ」と言った時に限るのに気がついた(たまたま同席していた)ジェームズ・ランディに「てめえが変なことを言うと匙が曲がるから、金輪際曲がれと言うな」と釘をさされ、いつものとおりの芸をやれという意味で「俺だよ、俺。ユリだよ、ユリ・ゲラーだよ。頼むぜ」とささやいて手妻つかいが壺をあげると、狸は大爆笑する百合の花に化けて座っておりました。

【関連情報】

落語のあらすじ 千字寄席 『狸賽』

『ユリ・ゲラー』(Wikipedia

『ジェームズ・ランディ』(Wikipedia

『奇術』(Wikipedia

濃い人のピンチヒッター。』(唐沢俊一検証blog


(古賀)

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2009年2月24日 (火)

落語『芝浜(最終話/大晦日の晩にアイを叫んだ勝五郎)』

「3年前に芝浜で50両入った財布を拾ったのが夢だったんじゃない僕もありえるんだ!」
「50両を拾ったという現実を夢としているのは君の心だ」
「財布の中の大金、それをお上に届けるか届けないか、これらが少し違うだけで人の運命は大きく変わるわ」
「財布は人の数だけ存在する」
「だが君の拾った財布は一つだ」
「心配性の女房の世界観により君のことを守るために変更された情報、ゆがめられた真実」
「人1人が拾う財布のお金なんてちっぽけなものや」
「だけど酔っぱらいは自分のもてる物差しでしか財布をはかれない」
「与えられた他人の財布でしか物事を見ようとしない」
「50両があると気分良く、夢だと思うとゆううつ、教えられたらそう思いこんでしまう」
「50両がなくてもきちんと働いてさえいれば楽しいことはあるのに」
「うけとり方一つでまるで別物になってしまう脆弱なものだ。拾った財布の価値なんて」
「ぼくは…久しぶりにお酒を飲んでもいいかも知れない」
「おめでとう」
「おめでとう」
「おめでとう」
「おめでとう」
「おめでとう」
「おめでとう」
「ありがとう…だが、待てよ…よそう。また自己開発セミナーと言われるといけねえ」
熊さんにありがとう。八つぁんにさようなら。そしてすべての長屋の住人達におめでとう。

【関連情報】

落語のあらすじ 千字寄席 『芝浜』

第59回 エヴァ雑記「最終話 世界の中心でアイを叫んだけもの」(WEBアニメスタイルCOLUMN


 
(古賀)

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