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2009年6月21日 (日)

『ドラえもん』 星新一『悪魔』バージョン

のび太が机の引き出しを開けると、黒っぽい煙が立ちのぼった。あわてて目を閉じ、やがて少しずつ目をあけると、引き出しの中に、みなれぬ相手が立っている。色の青い猫のような男で、耳が無く、しっぽがあった。
「いったい、なにものだ?」
のび太がふしぎそうに聞くと、相手が、にやにや笑ったような顔で答えた。
「わたしは22世紀から来たロボット」
「なるほど。漫画に出てくるロボットも、そんなかっこうをしていたようだ。しかし、本当にいるとは思わなかった」
「信じたくない人は、信じないでいればいい。だが、わたしはちゃんとここにいる」
「なんで、こんなところに現われたのです」
「お前の悲惨な未来を変えるために、タイムマシンにのってこの20世紀にやって来たというわけだ。さて、ポケットのひみつ道具で何かお前の願いをかなえてやるとしようか」
「どんなことができるのです」
「なんでもできる。なにをやってみせようか」
のび太はしばらく考え、こう申し出た。
「いかがでしょう。わたくしのたまりにたまった宿題をやって下さいませんか」
「なんだ。そんなことか。わけはない。ほら」
ロボットは宿題かたづけ機に、ちょっと手をつっこんだかと思うと、一冊の宿題を差し出した。
首をかしげながら、のび太が手にとってみると、本物の宿題にまちがいない。
「ありがとうございます。すばらしいお力です。もっと、やっていただけませんでしょうか」
「よくばりなやつだ」
「なんといわれても、こんな機会をのがせるものではありません。お願いです」
(中略)
その時、ぶきみな音が響きはじめた。宿題の重みで、床にひびがはいりはじめたのだ。そうと気づいて、のび太は大急ぎで家の外へと飛びだした。やっとたどりつき、ほっとしてふりかえってみると、家は大きな音をたてて崩れ、机も引き出しも宿題も、かん高い笑い声をあげているロボットも、みな地の底へと消えていった。
(参考:『ボッコちゃん』新潮文庫 P9~P13)

【関連情報】

『ドラえもん』(Wikipedia


『星新一』(Wikipedia


(古賀)

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