« 今日の更新情報(11/9) | トップページ | 今日の更新情報(11/10) »

2008年11月10日 (月)

落語「うそつき弥次郎世界を股にかける」

「おや、弥次郎さん。ひさしぶりじゃないか。今までどこに行っていたんだい」
「商売で一年ばかり遠国へ行っておりました」
「どこへ行っていたんだい。北海道か?」
「いえ。アフリカへ行ってまいりました」
「アフリカへ……ふーん、ずいぶん遠いところへ行ったな。アフリカ大陸の何という国だい?」
「いえ。アフリカ大陸にあるアフリカという国なんで」
「アフリカ?馬鹿なことを言っちゃ困る。アフリカなんて国はないだろう」
「それがあるんですよ。この国では人の名前も物の名前も挨拶も全部アフリカなんです。王様の名前がアフリカ、お后の名前がアフリカ、学校嫌いの子供らの名前もアフリカ、会う人会う人すべてアフリカ」
「どこかで聞いたような話だな」
「宿にとまると女中さんが『アフリカになさいますか、それともアフリカにしますか?』と聞いてくる。たぶんどっちかが食事でどっちかがお風呂のことだと思うが、こちらはこの国に来たばかりだから細かい発音の違いが識別できない。面倒くさいから『両方にしてくれ』と言うといきなりツボの中に放りこまれ生きたまま煮込まれました」
「おいおい」
「あとから聞いたところによると『宣教師の絶叫煮込み』というその地方特有の風土料理だそうです。風呂がわりにツボの湯につかってさっぱりした後は、煮込み料理をおいしくいただきました」
「ちょっと待て、煮込まれたのはおまえだろう」
「そうですよ」
「食べたのもおまえだな」
「そうです」
「およしよ。馬鹿馬鹿しいや」
「どうしてです?」
「どうしてって…煮込まれたお前をお前自身が食べられるわけがないだろう」
「いや、そんなわけは。わたしの食べた煮込みは確かにわたし自身だったはず…ああ、やっとわかりました」
「何がわかった?」
「今ここにいるわたしはわたしではなく『血で描く』という怪奇小説を書いた朝日新聞の書評委員でした」
「ああ、道理でホラーを吹きっぱなしだ」
(参考:講談社文庫『古典落語・上』興津要編)

【関連情報】

落語のあらすじ 千字寄席 『弥次郎

『アフリカという国などないっ!』(トンデモない一行知識の世界

アフリカが国だと思っていたペイリンと朝日新聞(ベイエリア在住町山智浩アメリカ日記)


 
(古賀)

« 今日の更新情報(11/9) | トップページ | 今日の更新情報(11/10) »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/78610/43067570

この記事へのトラックバック一覧です: 落語「うそつき弥次郎世界を股にかける」:

« 今日の更新情報(11/9) | トップページ | 今日の更新情報(11/10) »