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2008年9月23日 (火)

『血で描く』 夏目漱石バージョン

金縁眼鏡の美学者は座につくと劈頭第一に「画はどうかね」と口を切った。
主人は平気な顔をして「君の忠告に従って漫画を描いているが、成程世の中を呪いながら血で描くと、作品の読者を引き込む力がまるで違ってくるように思われる。さすが沼波恭一だ」と、日記の事はおくびにも出さないで、又沼波恭一に感心する。
美学者は笑いながら「実は君、あれは出鱈目だよ」と頭を掻く。
「何が」と主人はまだいつわられた事に気がつかない。
「何がって君の頻りに感服している『血で描く』さ。あれは僕の一寸捏造した話だ。君がそんなに真面目に信じようとは思わなかったハハハハ」と大喜悦の体である。この美学者はこんな好加減な事を吹き散らして人を担ぐのを唯一の楽にしている男である。
「いや、時々冗談を言うと人が真に受けるので大に滑稽的美感を挑撥するのは面白い。先達て或る雑学者の居る席で高橋留美子のうる星やつらの話しが出たから僕はあれはSFギャグ漫画の中の白眉である。ことに女主人公ラムが不在ままあたるのモノローグで話がすすむ第1話などは鬼気人を襲う様だと評したら、僕の向こうに坐っている知らんと云った事のない先生が、そうそうラムの出てこない第1話は実に名作だといった。それで僕はこの男もやはり僕同様この漫画をろくに読んでおらないという事を知った」

【関連情報】

『唐沢俊一』(Wikipedia

『吾輩は猫である』(Wikipedia

『夏目漱石』(Wikipedia

『うる星やつら』(Wikipedia

ネット上でも資料がやたら充実なのはさすが『うる星やつら』 』(トンデモない一行知識の世界


(古賀)

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