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2008年9月17日 (水)

『血で描く』 エドモンド・ハミルトンバージョン

「これからどうするつもりですか?キャプテン」グラッグは唸るように低い、機械的な声で言った。
「どうするつもり?決まっているじゃないか。おれたちは太陽系政府主席の要請により、『漫画本の持ち主が必ず行方不明になる』という謎の人間消失事件を引きおこしている犯人をひっとらえて、地球へ連行するんだ。それだけのことさ」カーティスはこともなげに答えた。
「おれが思うに、この事件の犯人は、なにか秘密の振動波を利用して犠牲者の体を必要に応じて漫画本と一体化しているようだな」
オットーはきょとんとなった。
「一体化ですかい?」カーティスはうなずいた。
量子力学においては、すべての物質は固有の原子の振動数を持っていることになっており、これを振動波としてとらえることができる(これは正しい)。そして人間の体を構成している原子の固有振動数を他の物体を構成している原子の固有振動数と一致させることにより、人間と他の物体を一体化させることは理論的に可能だ――とされているんだ。犯人は犠牲者の肉体の固有振動数と漫画本の固有振動数を一致させ、一体化させることにより消失事件を引きおこしているに違いない」
「なんでも太古の日本には、世の中を呪いながら自らの血をインクに混ぜて原稿を描くことにより漫画本の振動数を高めるテクノロジーが存在していたらしいと言われてますね。いまじゃ滅んだも同然だけれど、この事件を起こしやつァ、日本人ですかね?」オットーの質問に対しカーティスは首をふった。
「そいつはまだよくわからん。だがこの一件には、われわれの科学を超えたなにかがひそんでいる。おれは現代の太陽系内の漫画家を全て知っているが、そのうちのだれひとりとして漫画本と読者を一体化するくわだてには成功していないからなァ」
(参考:創元SF文庫『恐怖の宇宙帝王 暗黒星大接近』、ちくま文庫『トンデモ一行知識の世界』P110)

【関連情報】

『唐沢俊一』(Wikipedia

『キャプテン・フューチャー』(Wikipedia

『エドモンド・ハミルトン』(Wikipedia

『『水からの伝言』と結局シンクロしている、と』(トンデモない一行知識の世界


(古賀)

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