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2007年5月11日 (金)

こんな夢を見た。

成田亨が怪獣をデザインしていると云う評判だから、散歩ながら行って見ると、自分より先にもう子供たちが大勢集まって、しきりに下馬評をやっていた。

(中略)

成田亨は今巨大なお玉杓子を横へ彫り抜いて、鑿の歯を竪に返すや否や斜すに、上から槌を打ち下した。堅い土管を一と刻みに削って、厚いコンクリート屑が槌の声に応じて飛んだと思ったら、小鼻を膨らましながら鼾をかいている怪獣の側面が忽ち浮き上がってきた。その刀の入れ方が如何にも無思慮であった。そうして少しも疑念を挟んでおらん様に見えた。

「能くああ無造作に鑿を使って、思う様な怪獣が出来るものだな」と自分はあんまり感心したから独言の様に言った。すると横にいた子供が、「なに、あれは怪獣を鑿で作るんじゃない。あの通りの怪獣が土管の中に埋っているのを、宇宙線と太陽光線の力を借りて掘り出すまでだ。まるで土の中から石を掘り出す様なものだから決して間違う筈はない」と云った。自分はこの時始めて怪獣の造形とはそんなものかと思い出した。果してそうなら誰にも出来る事だと思い出した。それで急に自分も怪獣が彫ってみたくなったから見物をやめて早速家へ帰った。

家の裏の空き地に転がっている一番手頃な土管を選んで、勢いよく彫り始めてみたが、不幸にして、怪獣は見当らなかった。その次のにも運悪く掘り当ることが出来なかった。三番目のにも怪獣は居なかった。自分は転がっている土管を片っ端から彫ってみたが、ガヴァドンAタイプもガヴァドンBタイプも怪獣を蔵しているのはなかった。遂に平成の土管には到底怪獣は埋っていないものだと悟った。

夏目漱石『恐怖の宇宙線』(参考:『夢十夜』第六夜)

【関連情報】

『ガヴァドン』(Wikipedia

『夢十夜』(Wikipedia

成田亨』(Wikipedia

 

(古賀)

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