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2008年10月

2008年10月27日 (月)

ヤハウェさま逆上する(3)

篠房六郎作

ヨブの友人「お前も義人だったらな。ヤハウェさまをちゃんとエスコートしてだな。気のきいた祈りで盛りあげつつ、優しくヤハウェさまの神心をくすぐってだな」
ヨブ「すると――どーなるんだ」
ヨブの友人「たぶんまた――ブチ切れられて不幸のどん底に落とされるんだろうな」
ヨブ「――て、オイ、ちょっと待て。て事はつまり、俺が悪いことをしようが良いことをしようがどっちみちひどい目にあわされる運命って事なのか?」
ヨブの友人「――まあ確かにそうなるだろうな。何しろヤハウェさまはツンデレだからな」
ヨブ「ざッッけんな、何だそりゃ!!何が悲しくて俺があの凶暴造物主にいいようにひどい目にあわされにゃならんのだ!!」
ヨブの友人「まだ分からんのか愚か者め!ツンデレの造物主にいたぶられるってのが被造物にとっていかにご褒美であることか!!単なる勧善懲悪よりも真っ赤な顔で恥じらってこうポカポカと理不尽な仕打ちをしてくる方がより素晴らしく萌えるんだからな」
ヨブ「萌えとか何とか分っかんねーよ!」
(参考:アフタヌーンKC『百舌谷さん逆上する』第1巻)

【関連情報】

『ツンデレ』(Wikipedia

 
(古賀)

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2008年10月26日 (日)

ヤハウェさま逆上する(2)

篠房六郎作

ある日、神の子たちが来て、主の前に立った。サタンも来てその中にいた。

サタン「ぼぼ僕はヤハウェさまと一緒にいて恥ずかしいとか格好悪いとか思ってないし、他の悪魔から白い目で見られても平気だから!今日はもう本当の本当にヤハウェさまの前に立つことができて良かったなーって。だから、その、僕は、ヤハウェさまとだったら付き合っていると言われたって一向に……」
ヤハウェ「何言ってるの。いいのよ、そんな…私だってサタン君とだったらいくら悪魔と付き合っているだの堕天使とつるんでるだのと不信心者どもにはやしたてられても一向に構わないんだから」
サタン「――え、あの、ややや、ヤハウェさま……!?」
ヤハウェ「だってさ。アレでしょ。例えばヘビかなんかを飼っている人が周りから『ヘビと付き合ってるんだろ』ってはやし立てられたりしても、ただそいつらがバカなんだなって思うだけでしょ?」
サタン「――――え!?」
ヤハウェ「サタン君って私別に嫌いじゃないけど、そんな顔だし角生えてるし尻尾があるし羽がコウモリだし全身黒いし何だか硫黄臭いし好きになるような要素が何処を探しても一個も無いのよね。本当に心の底からどーでもいいっていうか……ヨブのことであなたと話したとき私すっごく驚いたのよね。『妬む神』と自称するほどの私がこんなにも何一つ感情が高まらずフラットな状態で話せる人は初めてだって……その時ようやく大事な事が分かったの。これから天変地異やハルマゲドンなどの暴力沙汰を引き起こさずに長く薄くなあなあで付き合っていけるのはこういう人なんだって。ずっと先まで考えても私のツンデレが出るくらい好きになったり尊敬できるようになるって心配も全然無いわ。だってほらサタン君って結局楽園にいる裸の女を誘惑するような変態だったりするわけじゃない!?」
サタン「!!!!!!!!!!」
(参考:アフタヌーンKC『百舌谷さん逆上する』第1巻)

【関連情報】

『サタン』(Wikipedia

 
(古賀)

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2008年10月25日 (土)

ヤハウェさま逆上する(1)

篠房六郎作

天使「6日間で天地を創造した造物主のヤハウェさまです。みんなもよろしくー」
天使「ヤハウェさまの事でみんなにはちょっと気を付けてほしい事がありまして、何と言ったらいいか、えっと、その……彼はいわゆるツンデレなんです」
ヤハウェ「初めまして。こうして皆さんの前に立ってみると皆の顔が皆ひとまとめにして焼いてしまう以外どうしようもない毒まみれの麦の束にしか見えません。こんなのをわざわざ造ろうと思い立った7日前の自分にオロカモノメと言いはなってやりたいです」
天使「こんな事言ってるけどみんな気にしないでねー」

義人と仲良くしたいとか好きだと思った時に普通の神とは逆に攻撃的な言動や行動をとってしまうという症状が出て、しかもそれを自分では抑えられなくなってしまうヤバい神様、それがヤハウェさま。
そんなヤハウェさまに好かれたがためにとんでもない試練に巻き込まれてしまうヨブ。

ヨブの友人「聞かせろよ。あれからヤハウェさまと一体どんな進展があったのか」
ヨブ「別に何もねーっての。もーアイツとは係わらないようにするって決めたんだよ。アイツは何ひとつ悪いことをしていない俺の財産をメチャクチャにして俺を変な病気にして見舞いにも一度も来なかったんだぞ。あいつが神で絶対者じゃなかったらドツキ合いしてはり倒してるところだぜ?」
ヨブの友人「ちょ、待てよお前。この前お前とヤハウェさまの事を巻物に書いたらスゲエ大反響だったんだぞ。これから先お前がヤハウェさまとの関係を進展させてくんねーと俺の方が困るんだよ。上手くすりゃ本になって世界最大のベストセラーに……」
ヨブ「だから訳分かんねっての!」

ヨブ「突然だがヤハウェよ。実は俺お前の事が大好きだった――らしい。お前がヤル気ならドツキ合い、もとい問答に付き合ってくんねーか」
ヤハウェ「……アンタ、何言ってんの……?」

A ヨブがヤハウェさまに嫌われていた場合
「神のはかりごとを暗くする無知な寝言は土塊(つちくれ)に還ってから言えっての、バカ!被造物は家に帰ってクソして寝れば?」
B ヨブがヤハウェさまに好かれていた場合
「神のはかりごとを暗くする無知な寝言は土塊(つちくれ)に還ってから言えっての、バカ!被造物は家に帰ってクソして寝れば?」

ヨブの友人「いいか。ヤハウェさまはツンデレだからお前のことが好きでも嫌いでも返事は結局同じになる。だからまあそこんとこはお前がつむじ風の中のヤハウェさまと問答しながら声色とか様子とかよーく観察してだな……」
ヨブ「あーもう本当に面倒臭え唯一神だなー。何で俺がこんな目に……!!」

C 現実
「神のはかりごとを暗くする無知な寝言は土塊(つちくれ)に還ってから言えっての、バカ!被造物は家に帰ってクソして寝れば?」
――さて、今の返事でヤハウェさまの本心は一体どっちなんでしょう。
(参考:アフタヌーンKC『百舌谷さん逆上する』第1巻)


【関連情報】

『ヤハウェ』(Wikipedia

『ヨブ記』(Wikipedia

『篠房六郎』(Wikipedia

 
(古賀)

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2008年10月13日 (月)

血で描く

唐沢俊一作

昭和36年、貧乏な貸本漫画家の沼波恭一は家に家財道具がひとつもないので、世の中を呪いながら自分の血を混ぜたインクでタンス、長火鉢、やかんなどを世の中を呪いながら紙に描き、世の中を呪いながらそれを壁に貼りつけ、世の中を呪いながら「こいつは本物そっくりだ」と悦にはいり、世の中を呪いながらふとんをかぶって寝てしまう。

その晩世の中を呪いながら沼波の家に忍び込んだ泥棒、世の中を呪いながらタンスの引き出しに手をかけるとどうしても開かない。世の中を呪いながらタンスに触ってみると手触りがただの紙なので、世の中を呪いながら血を混ぜたインクで世の中を呪いながら家財道具一式を紙に描いたものを世の中を呪いながら壁に貼りつけたのだと世の中を呪いながら気がつく。

泥棒世の中を呪いながらがっかりしたが、世の中を呪いながらせめて盗んだ気になって帰ってやろうと思い直し
「血で描いたタンスをあけたつもり…血で描いた風呂敷を出して広げたつもり…血で描いた着物をとりだして風呂敷につつんでよっこらしょと背負ったつもり…」
そこへ沼波が世の中を呪いながら目をさまして泥棒を見つけ
「面白いからおれもつきあってやろう…血で描いた槍をきゅっきゅっとしごいたつもり…血で描いた風呂敷を背負った泥棒の脇腹をえいやっと突いたつもり…」
泥棒が
「うーん、血で描いた血がだくだくと出たつもり」

【関連情報】

落語のあらすじ 千字寄席 『だくだく

唐沢俊一『血で描く』を読んでみた。』(唐沢俊一検証blog

どうしてそこでもっと凝ろうとしないのか<『血で描く』トンデモない一行知識の世界

『血で描く』感想通信ブログ


 
(古賀)

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